昔話 ~ 第1発見者&通報者

あれは平成の1桁年(そんな表現あるかは不明)だっただろう。
はっきりとした記憶は無い。
それくらい前の話。

当時は就職直後からの出向先から戻って間もない頃で、両親と集合住宅に住んでいた。
ここは中学の頃から住んでいて、賃貸ではあるものの「実家」とも呼べる場所。
5階建てで、5箇所ある入口からすぐに階段があり、その両サイドに各部屋の玄関ドアがあるという作り。
いわゆ昔の団地風の建物で、道央圏からの引っ越しの際の「仮住まい」のつもりがずるずると住んでいた。
我が家は一番左の入口を入り2階で、建物的には左から2番目の部屋の「202号室」。

うっすらと雪があったので、冬の始まりか終わりという時期だったろう。
多分、冬の始まりだったのではないか?
記憶が曖昧だが。

その日は休みで、自室でTVをゴロゴロとしながら見ていた。
はっきり覚えているのは、ポテトチップスを食べていたことだ。
そんな午後。

母親が自室に駆け込んで、ボヤを出したのではないか?と。
要するにタバコの不始末があるのではないかという疑いだ。
居眠りしていたならまだしも、しっかり起きていたので気付かないはずが無いが、確かに言われてみれば焦げ臭い。
玄関ホール(というほどの広さはない)に出てみれば、少し煙たい気もすると感じた。
まさかと思い玄関を出てみると、階段ホールがはっきりと煙たい。
明らかに何かが燃えている。

人間、焦るとだめですね。
何故か階段を上へ数段上がった。
すぐに煙は下から上へ上がると思い直し、下へ向けて方向転換。
階段を降りるとすぐに理由が判明した。
「101号室」の玄関ドアにある郵便受けに挟まってる冊子から煙が出ていた。

少し熱かったが燃えていない端をつまんで引き抜き、開いていた建物の入口から外の方向へ放り出した。
すぐさま建物から出て建物に沿って少しだけ残った雪の上へ蹴り、周りの雪をかけた。
いわゆる初期消火。

慌てて色々やっていたが、ここでふと我に返る。
「あれ?ここに住人いたっけ?」
とりあえず、心配しているだろう母へ顛末を伝え、「やっぱり通報しないとだよな?」となり119番へ通報。

程なく近くの交番から制服警官、少ししてから消防車に乗った消防隊員が到着。
都度状況を説明しなければならず2回同じことを話したが、警察と消防は違うし証言内容を精査するということもあるかと思い、彼らも仕事なのでお付き合いする。
なにせ第1発見者を疑えの理論もあることだし。

なにが嫌だったかといえば、現場写真の撮影だ。
休日でボサボサの頭、加えてキタナイ室内着のままでだったこともあるが、それよりなにより撮影ポーズだ。
対象の玄関前に燃えカスを並べ、それを指差すポーズをとらされるのだ。
しかも右から指差し、左から指差し、その都度角度を変えて撮影。
いやいや、それこそ顔から火が出るわ!

余談。
後日判明したこと。
この部屋に居住していたのは女性とその子ども。
DV男から避難したものの居所を掴まれて嫌がらせとして、郵便受の冊子の間に火がついたままのタバコを入れ込んだのだ。
この母子はその少し前に更に別の場所に転居した後だったので、嫌がらせの効果はなかったが、犯人は判明しただろうとは思う。
しかしながら、このあたりの話は管理していた不動産会社の人間から聞いただけで、犯人が逮捕されたかどうかなどは一切聞いていない。
市民の安心のために、警察からの報告があっても良いのになと思った次第。

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